Prologue of Dohan Kingdom...





古くから聖都と称えられてきたドゥーハン王国。
美しき女王と、その女王を護る為に結成された直属の騎士、
クイーンガードによって王国は安泰し、長い間平穏な時が過ぎていった。
繁栄を極めたドゥーハン王国の首都、ドゥーハンは
“ベノアの宝石”と呼ばれ名を高め、各国にその存在を知らしめる
きっかけとなった………。



時は流れて、第十七代女王オティーリエの時代。
優しく誠実で聡明な女王と女王を護るクイーンガードの長、レドゥアを
筆頭に、自愛に満ちた治世は、変わる事なく続いていた。

しかし、悲劇の足音は既にそこまで忍び寄ってきていたのだ………

ある日の事。
それは突然のことだった。
何の兆しも感じることなく、
平和で豊かな首都、ドゥーハンに一筋の閃光が降り注いだのだ
その威力はすさまじく、豊かだった首都の姿は一瞬にしてかき消され、
見るも無残な廃墟の町と化してしまった。
風光明媚な城の姿も、交易で賑わっていた町の姿も、今はもう無い。
生き残った人々の心には、絶望しか残されていなかった。

しかし、悲劇はそれだけ出はとどまらなかったのだ。

閃光が生み出した時空の歪みが、城の地下と魔物の住む迷宮を繋げて
しまったのだ。
ドゥーハンの町には結界に包み込まれたせいで陸の孤島と化してしまう。
そんな中、かろうじて閃光の難を逃れた女王オティーリエは、レドゥアに迷宮
の探索を命じる。
それを受け、王宮の兵士が探索を始めた頃、
人々の間でまことしやかに、一つの奇妙な噂が流れた。

「いかなる望みをもかなえる」という魔神の秘宝が、
迷宮の闇に眠っているらしい…。

その噂の真偽を確かめる為、ある者は国の英雄と称えられる為、またある者は
自らの欲望を叶える為に、一抹の不安と一握りの希望を抱えながら、
次々と迷宮の中へと消えていった……。


悲劇から暫くたったある日。
閃光によって陽もささず、雪ばかりがちらつくドゥーハンの地に、
一人の青年が現れた。
青年は虚ろな瞳で廃墟となった町を見渡すと、力ない足取りで、もはや一握りの
施設しか残っていない、町の中心部へと向かって行った。
彼によってドゥーハンの命運が決まるとは、誰が予想していただろうか。
それはまだ、この時点では誰も知らない……。


ドゥーハンの町に、新たなる物語が紡ぎだされようとしていた……

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